かに玉の主役は誰か?
カニ肉? 否。
甘酢あん? 否。
それはこの「かに玉」を食べるとわかる。
主役は玉子であるから、やたらカニが威張っているのは困る。
カニ肉はわずかでいい。
玉子は固まりすぎずにふわりとしていて欲しいが、柔らかすぎてもいけない。
表面は少し焦げるくらい焼いて、香り高くありたい。
甘みと酸味を効かせたあんは、玉子の甘みを邪魔してはいけない。
だからといって淡い味ではなく、ご飯や酒を呼ぶ味の濃さでありながら玉子の甘みを立てている。
そんなバランスであって欲しい。
やたら大きいのもいけない。
筍は入ってもいいが、玉子の食感を生かすように控えめであって欲しい。
彩にグリンピースは必須である。
理想はこの店のそれだろう。
「かに玉」という料理がなんであるか、分をわきまえている。
芙蓉蟹が日本に住み着き変化して「かに玉」となった本分を知っている。
京都「盛京亭」
かに玉の主役は誰か? <京都の平生>52
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